宇宙の片隅の記

神秘主義的思考により世界・社会・実存について考える

ダリに行ってきた

新国立美術館でやってるダリ展行ってきた。ダリが? 俺が! ダリ展やってるのは知っていたが最初行く予定はなかったものの時間ができたので行ったのである。やってるの上野かと思ったら新国立だった。ちなみに乃木坂駅から雨に濡れずに入れる。バイクで行ったことがあるが駐輪場もあり便利な美術館である。

さてダリ展はほんとに良かった。なんでも前は2006年に上野でやって今回は10年ぶりの大回顧展だったらしい。実はその時にも行ったのだが、それほど感激はしなかったと記憶している。あと会津磐梯の諸橋近代美術館にも行ったことがあるがここはコレクション所蔵なのかな。とにかく今回は私自身それほど美術展に行っているわけではないが今まで行った中で一番良かった展覧会といえるほどによかったのだった。

サルヴァドール・ダリの絵は写実的で、またCG的にも見える。ダリの世界は一見奇妙なものを描いているように見えても、奇妙な明るさがある、というのが今回展覧会を見た印象だ。それはいわゆるドイツ的ほの暗さを体現しているようなマックス・エルンストやエドガー・エンデとは対照的に思える。その原因はおそらくダリの描く風景だ。もちろん全作品を知っているわけではないが、ダリの風景は海と地平線、それに空を好んで描いていることに気付いた。『記憶の固執』がいい例で、あの風景をベースにダリは自分の幻想を盛っている感じがする。もしかしたら研究者では当たり前?なのかもしれないが、今回初めてそれを意識したのである。絵をずっと見ているとそれらの幻想ともどもに実在感がある。地平が広く、空も青空を基調として描かれるためそれが開放的に感じさせ、ダリの世界にはたとえ魑魅魍魎が跋扈していても中に入って行ってみたいと思わせるのだ。

今回の展覧会でシュルレアリスム時代以降の絵はどれもよかったが、中でも「ポルト・リガトの聖母」は圧巻である。この作品と、今回の展覧会にはないが「最後の晩餐の秘蹟」はなんというかニューエイジ的だと思っていたのだが、目にしてみて思ったのはバッハの音楽をシンセサイザーで演奏したような印象なのである。といってもよくわからないが、とにかく、うまく言えないのだがダリは自覚を持ってルネッサンスや古典主義を現代を結び付けようとしたというような解説が解説パネルにあったと記憶しているから、まあそれが本当に成功しているように思える(とこんな解説で合っているのだろうか)。

ダリは晩年古典主義に回帰したとのことだが、その中のひとつ「テトゥアンの大会戦」これがまあ悪趣味なんである。まあそれがいいのだが、あーあまたガラ描いてるよ、みたいな感じがして思わず吹き出す。ガラはここではダリと志を同じくする伴侶であると同時に、聖母の位置まで昇りつめている。あと 「ラファエロ的幻覚」。この絵はまるで〈黄金時代〉の黄昏の風景のようだ。

会期はまだあるので興味がある人は行ってほしい。ちなみに土曜日だったのでそれなりに混雑はしていたが苦痛を感じるほどではなかった。またこれで終わりかなと思ってもなかなか終わらないフルコース料理のような作品数も多さも魅力だった。それにしても日本人は印象派が好きだと言われるが、今の時代シュルレアリスムのほうが実は理解されたりするんじゃないだろうか。ルネ・マグリットは前にやったと思うから同様にジョルジョ・デ・キリコマックス・エルンスト、エドガー・エンデその他の展覧会もいつかやってほしいと希望します。

 

これは面白い。